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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)501号 判決 1953年2月19日

主文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人鈴木克郎の負担とする。

理由

被告人鈴木克郎の弁護人南出一雄の上告趣意は、量刑不当の主張であり、被告人伊藤一郎の弁護人栗林敏夫の上告趣意は、事実誤認を前提とする判例違反の主張であって、その前提を是認し難く、従って、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

そして、職権を以て調査すると、原判決があった後第一審判決の認定した判示第三の別表第二表中の10及び17の臨時物資需給調整法違反の犯罪は、昭和二七年政令一一七号大赦令一条八八号によって大赦があったけれども(同11の一部は同令二条により赦免されないものと認める。)、右二個の犯罪は第一審判決認定の第一乃至第三の多数の犯罪中の判示第三の違反額総計一二一万四九五〇円であった併合罪中の計五一五〇円の違反行為に過ぎないから、これを是認した原判決並びに第一審判決中の有罪部分を破棄しなくとも著しく正義に反するものとは認められない。それ故、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三九六条、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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